タロットの精霊、心理バージョン

タロットの精霊と言う言葉と言いますか、存在を聞いたことがあるでしょうか?

一般的には聞くことのないものですが、タロットに関心のある人、関わる人、リーディングを実際に行う人には、常識的存在かもしれません。

ただ、タロットを習う人、学んだ人でも、このタロットの精霊の存在を知らない人もいますし、言葉は知っていても、どういうものなのか実感として、あるいは知識としてもわからないという人が多いように思います。

私も、ここでは詳細に語ることはできません。

それは、タロットの精霊という定義が難しいからでもあります。

タロットを魔法(魔術)世界の道具として扱う場合、タロットの精霊は、ある意味、サイキック・メンタル界的なもの、そういったエンティティ(存在性あるもの)として、感覚化することが課せられると思います。

そうした世界になると、はっきりとタロットの精霊は実在するものとなります。

ただ、魔法の世界に参入するには、それなりの訓練や指導者が必要となってきます。タロットと魔法世界は、今や日本でもメジャーなタロットとなっている「ウェイト版(通称ライダー版)」タロットが、近代魔術結社ゴールデーンドーンの団員によって作成されたことからも、関わりの深さは明白です。

中には、「魔法(技法・知識)に結びつかないタロットは、形式的・表面的・遊戯的なものでしかない」という人もいます。パスワーキングのようなタロット瞑想などのテクニックも、公にされているものは、ほとんど近代の魔術結社による技法の一部だと推測されます。

しかしながら、もともとサイキック的な素養のある人などは、その人自身が見たり、感じたりするタロットの精霊とのコンタクトが可能な場合もあります。

私の知人や生徒さんの中でも、そういった人は、その方なりのタロットの精霊とコミュニケーションして、リーディングする人も実際にいます。

さて、ここでは、魔法的・サイキック的な意味でのタロットの精霊とは別に、意識的なもの、心理的なものとして、タロットの精霊を見ていきます。そして、そうした存在の仮定をしたほうが、場合によってはよいことも示します。

タロットの精霊が、何か目に見えない、ファンタジー世界の住人のような存在か、心霊的エンティティなのかはともかく、ここはその証明や説はひとまず置いておいて、タロットの精霊なるものを、とにかく空想・仮定して、あなたの心の中では存在させるとします。

これは、いわば、心理的なテクニックと言えます。心で想像することで、少なくとも、あなた自身の中にはイメージや観念だとしても、存在することになります。客観的な存在証明はもちろん必要ないのです。

すると、まず、タロットと自分の関係が、人とモノ(カード)というふたつの立場から変化していきます。

あくまで、自分が(主体で)タロットを扱い、読むのだというのが、普通の感覚でしょうが、ここに、自分の心の中に、タロットの精霊のようなものがいるとすると、自分がタロットと対峙した時に(そのイメージ的存在が)仲立ちとしての機能を発現させてくるようになります。(結局、自分自身が行っているのですが)

「タロットの精霊」ですから、当然タロットには詳しく、むしろ精霊にはそれが家であり世界であり、専門の存在たちと言えます。(と空想する)

一方、こちら側は、タロットは手にはしていますが、しょせん人間であり、カードの中に実際に入ることはできません。(笑) 物理的な意味でのタロットカードは、あくまで紙に図像が描かれた絵に過ぎないからです。

もちろん、ここから自分なりにカードを生命体のように思って扱い、タロットとのコンタクトを図りやすくする方法もあります。

実は、そうした方法の一つとも言い得るのですが、あらかじめ、タロットの精霊を自分の心の中に仮想しておくことで、もっとカードと自分自身のコミュニケーションを行いやすくするわけです。

「それは単なる思い込みじゃないですか」といぶかる人もいるでしょう。でも、最初は思い込みからなのです。

自分が思い込まないと、何も自分の中には生まれません。妄想のようなものでも、タロットの精霊を想像することで、まさに創造が可能になってきます。

それが次第に強くなれば、自分だけでタロットと接しているのではなく、自分と、心の中のタロットの精霊との協同で、ふたつの見方によってタロットを見るようになります。

それは、人間としての知識や常識的な見方と、もう一つ、タロットの世界の感覚とでも言いましょうか、直感的なもので、タロットカードのそれぞれの一般的な意味とは異なる、独特な解釈やインスピレーションが生まれてくることがあるのです。

心理的な言い方に戻れば、顕在意識が前者であり、タロットの精霊を仮定した心を通して出るものが、より潜在意識的と言えましょう。

そう、タロットの精霊を心に置いた場合、(心理的な場合は、自分自身との)コンタクトやアクセスする回路が通常とは異なってくるのです。

私たちは、普通の意識の時は、日常的によく使っている脳の神経回路を使っていると言われます。

これに対して、何かすごい経験があったり、いつもとは違う環境に置かれたり、緊張から解放された瞬間だったりすると、脳内電流の通る神経回路が別ルートを通ったり、一気に多く走り抜けたりすると聞いたことがあります。

こうした機能と似て、タロットとの精霊を強くイメージし、自分の心にひとつのアクセス回路として機能してくると、非日常感が増し、普通の読み方とか、意味とかを超えたものがやってくる可能性があると考えられます。

言わば、情報の取り方・ルートが、タロットの精霊を置くことで違ってくるわけです。

これは、神や天使がいるいないの問題とは別に、そうした存在を信じていたり、身近にイメージしていたりすることで、そのような力や守護が自分に働きかける、起こると感覚するものと同じようなことです。

心理的に説明した場合は、心の像が自分を納得(いい意味で錯覚させる)と考えてもよく、実はサイキック的に言えば、本当にそうしたエネルギーや通路が作られていると見ることもできます。

ですから、タロットの精霊の実在性はともかくとして、そういう存在を仮定してタロットを扱うほうが、タロットとはお近づきになりやすいのです。

しかし、これもあくまで一手段ですから、人によっては向き・不向きもあります。

何か見えないものをイメージしたり、ファンタジックな世界が好きだったりする人には、とても効果的と言えますが、空想やイメージが苦手で、そういうことをすると、かえって思考や感情、感覚が混乱したり、ストップしたりしてしまうような人は、タロットの精霊という仮定も向いていないかもしれません。

まあ、本当にタロットが好きで、タロットに継続して関わっている人には、自分が作り出しているか、本当にタロットの世界から来ているかはわからないにしても、何かしら、タロットの精霊のようなものを感じることはあるはずです。信じなくても、タロットのほうがわかってくれるみたいなものと言えましょうか。

とりあえず、大アルカナの中でも、特殊で数を持たない「愚者」は、それだけやはり特別(どのナンバーのカードでもない)のですから、一組のタロットの代表として思ってもよく、あなたのタロットカードの「愚者」の図像を前にして、心の中でもイメージし、「愚者」が動き出したり、語ったりしてくるのを待つとよいでしょう。

タロットの精霊のようなものを、自分が作り出すという説においては、当然ながら、自己(の性格・キャラなど)が反映されやすくなりますから、イメージした「愚者」が、あなたの分身であるように見えることもあるかもしれません。そういう場合、あなたはちょっと苦笑いしそうですね。(笑)

それでも、もし、自分が作り出しているのではなく、タロットの世界という異世界があるとすると、あなたは「愚者」を思うことで、その世界にコンタクトを取っていることになります。

自分が招くのか、あなたが招待されるのか、こちらの世界にあちらの世界を一部シンクロさせるのか、はたまた、こちらの世界からあちらの世界へ旅をするのか、表現や方法はいろいろあるわけです。

いずれにしても、たとえ分身であっても、それはあなたの全部ではないですし、あなたそのものでもありません。

例えば「愚者」という絵柄があるために、あなたの中の愚者的部分を投影して、その性格を受け持っていることも考えられます。

ということは、解離性人格障害ではないですが、普段の自分とは違う性格の者と会話をすることになり、現れる言葉、直感もまた、常識とこちらの世界で生きているあなた自身とは異なっていることも、心理的にはありえるでしょう。

通常意識のあなたが読むより、あなたのタロットの精霊(心理的には、あなたがタロットモードに入った時の別のパーソナリティ)が読むほうが、すばらしいかもしれないのです。

ただし、普通のあなたが統合し、コントロールしていくことは必要です。それは、タロットの扱い、リーディングを行っているのは、こちらの現実の世界でのことだからです。

タロットをされている方は、一度、あなたの(心理的な)、タロットの精霊を存在させてみましょう。

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