カモワンタロットと占い

私はもともとカモワン版マルセイユタロット(通称カモワンタロット)から入った者ですし、過去のブログはカモワンタロット自体について書いたものも多いですから、カモワンタロットを学習したい方、興味のある方が検索して、たどり着く場合もあるようです。

それで、カモワンタロットについて、今もって、私もカモワンタロットの情報を見ることがありますが、最近は日本での購入・入手が難しくなっているようですね。

まあこのことは、すでにコロナ以前からもあった(だからコロナウィルスの影響ではないと考えられます)のですが、たぶん日本においては、どこかでカモワンタロットの大きな需要があって、もともと少ない在庫が一斉にはけてしまったのだと思われます。

事情はわかりませんが、カモワンタロットの製作者のお一人、アレハンドロ・ホドロフスキー氏も、まだお元気とはいえ、かなり高齢でいらっしゃいますし、もう一人のフィリップ・カモワン氏も日本での活動はほとんど行われていないようですし、生産・販売について、特に日本までの供給となると、難しくなる何らかのことが起こっているのかもしれません。

カモワンタロットを教えるところや人は、正式にはカモワンスクールさんのほうがされていますので、そちらの人たちが事情に詳しいのではないかと存じます。

ところで、カモワンタロットがもたらしたインパクトは、やはり、タロット=占いという概念を打ち崩したところにあると、私は考えています。

それは以前、日本でのカモワンタロットの正式教育機関であった旧国際タロット学院→タロット大学(現イシス学院)が、そのような(占いではないタロットの視点の)売り方・広め方をしたことが大きいと思います。

もちろん、カモワン氏の技法やリーディングスタイルも、日本でいうところの“占い・占い”したものではなかったということもあります。(とはいえ、以前、ある雑誌の記事で未来予想の占いをカモワン氏かしていたこともありましたが・・・苦笑)

また、ホドロフスキー氏も、著作「タロットの宇宙」を見てもわかるように、そして常日頃から氏が語っているように、タロットは占いではないというスタンスであり、このお二人からの流れのタロットが、占いから脱却したものになるのは明白でした。

私はカモワン流においては、かなり学習・研究した者ですが(今はカモワンスクールの認定講師でもありませんので、その流れにはありませんし、カモワンタロットを教えることのできるのは、カモワン氏いわく、カモワンスクールが認定許可した講師のみということになっています)、いわゆる「カモワン流、カモワンメソッド」と呼ばれる、その展開法を見ましても、まったく占い向きではないのがわかります。

絶版にはなっていますが、以前、「秘伝カモワン・タロット」というカモワンタロットに関する本(日本では唯一のカモワンタロット関係の本、最近はカモワン氏が出したフランス語の本もあります)が出ていました。

その本に書いてある「動的展開法」というカモワン流の並べ方(スプレッド)があります。『学研「秘伝カモワン・タロット」大沼忠弘、フィリップ・カモワン共著 p85~の部分』 (この本の「動的展開法」は、本来のカモワン流に日本式に改編が加えられたものですが)

ここで、リバース・逆位置のカードに対して、そのカードの下に(カモワン氏のサイトでは上に置くという方法も書かれているのですが、この本では下に置く方法になっています、これには理由がありますが、ここでは割愛します)正立で別のカードを引いて置くという方法が記されています。

いわゆる「問題カード」「解決カード」の法則です。(イシス流では課題カードと対策カードに相当)

そして、この展開法規則そのものが、占いに向かないものなのです。

例えば、「彼の気持ちはどうなのか?」という質問で、問題カードと解決カードの展開を使った場合、問題カード(リバースのカード)を彼の気持ちと読むのか、解決カード(その下か上に正立で置くカード)のほうが示しているのか、混乱してしまいます。

問題カードと解決カードのシステムは、問題カードはその名の通り、問題を示しているのてあり、解決カードもまたその名のごとく、問題を解決するためのエネルギー・意味・示唆を表すというものです。

ですから、ここに、「彼の気持ちはどうなのか?」とか、「この仕事は辞めたほうがいいですか、それとも続けたほうがいいですか?」とか、「この先、私、結婚できますか?」というような典型的な占い形式の質問には、どう答えていいのか、どう読めばいいのか、わからなくなるのが普通だと思います。

そう、「何が問題で、何がその解決を促すのか?」という趣旨の質問スタイルに変えないと、そもそも、展開法自体が占いの質問に合わないのです。

ですから、「彼の気持ちはどうなのか?」と質問するのではなく、「彼とうまく行くにはどうすればよいですか?」とか、「結婚できますか?」ではなく、「結婚するためには(結婚に対して私の何が問題で)、どうすればよいですか?」(どんな対策や解決策があり、どんな見方をすればいいですか?)というものにしないと、スムースには読めないのが当然と言えます。

逆に言いますと、質問をうまく変えることができれば、カモワン流の展開法は非常に有効なものとなります。

こう考えると、もともとカモワン流の展開法自体が占い質問に答える形式ではないので、そもそもからして、占いには向かないタロット(厳密にはその展開法が、です)であることがわかるのです。

これを無理に占いに適用しても、また当たらないとか占いに使えないとか言っても、元から目的・使い方が違うので、文句を言っても仕方ないのです。

もちろん、スプレッド・展開法、そして解釈次第では、カモワンタロットでも占いに使用し、効果を出すことも可能です。(まあ、それでも個人的には占い向きタロットではないと思いますが)

バリバリの占いタロットをしたい方、当たる人気占い師などを目指す方は、カモワン流よりも、ウェイト版などのタロットで、占い質問を答えるのに向いたスプレッドで学び、実践を重ねたほうが目標に近づけるでしょう。

そうした占い方面ではなく、カモワン流のリーディング・質問形式に、自分の感性や思考、タロットを使う目的として合ってると思う人は、カモワンタロット、カモワン流を使っていけると思います。

ですから、これまでもたくさんの人を見てきましたが、やはり、占い嗜好(志向)の層とは違う方が、カモワンタロットやマルセイユ版を好む傾向があるように思います。

個人的には、カモワン・ホドロフスキー版マルセイユタロットはすばらしいものだと考えていますので、生産・販売がストップするようなことのないように願いたいものです。

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