偏りを利用する

いろいろ学び、考察していくと、宇宙の真理というものは、どのレベルにおいてもバランスが取れている、言い換えれば中立であることではないかと思います。

ただ、人間レベル、特に感情を入れていくと、その中立性は偏り、真理からどんどん遠ざかり、いわば、幻想の世界に住むことになるのでしょう。

真理としては、文字通り真の意味(理)で公平・バランス性が取れており、それがために、問題というものも生じず、無のような境地になることが想像されます。

逆に言えば、問題とは「偏り」であり、(無ではない)重さを持つものであり、真の中立性から、はずれた見方をしている状態とも言えます。

だから、こうも思います。

現実世界で生きる人間において、真の(中立)状態をずっと維持することはほぼ不可能であると。

とすれば、これも反対に考えて、この世(現実で生きること)は、そういうことを経験する世界・次元なのだと割り切ることもできます。

だから、現実レベルにおいて「悟り」を目指すとか、スピリチュアルレベルで真理に目覚めようというのも、それがいいのかどうかは、難しいところだと言えます。

タロットで言いますと、小アルカナ的生き方(ただし、小アルカナの使い方・象徴性の解釈によっては、真理の方向性に進むレベルのものもあると考えます)のようなもので、現実で生きることは、傾いた見方・思い込みもうまく使いこなし、自分が楽に生きられたり、生きる喜びを得られたりする方法を選ぶこともありなのかもしれません。

本質的には中立で傾きのない真理の世界であったとしても、人間として現実に生きる時間においては、幸福と感じたり、ポジティブになれたりする選択を意識して行うと、それがたとえ思い込みであっても、言い方は悪いですが、自分自身をだまして生きることで、幸せになれることもあると思えます。

簡単に言えば、真理を求める前に、自分自身の暮らしや生活、気持ちがよくなることをやったほうが、案外、生きやすいかもしれませんよ、ということです。

その意味では、タロットで占いをして、吉凶判断で吉的なものを選ぶことを参考にするのもよい場合があると言えます。

この場合では、自分が現実(幻想ではあっても)生活において、得したり、よくなったりすればいい(という気持ちや満足感が出ればいい)からです。

心理的にも、トラウマとか思い込みが行動を規定・抑制してしまうということが知られていますが、これも、よくよく考えると、トラウマのもとの事件そのものよりも、そこから生じたひとつの癖のようなものが固定化されて、そのために悪循環のようになり、悪い状態が堂々巡りしてしまっているとも考えられるわけです。

つまり、何か思いこんだり、トラウマになってしまったりする原因(事件)はあったとしても、それがすべてではなく、むしろ、そこから発生した癖とか傾向が、次第に習慣化され、固定化されて、行動とその結果にまで影響してしまっていたということです。

最初の原因自体、偏りの発生と言え(もともと偏りの世界で生きているわけですが、さらに偏りがひどくなった状態になる)、その修正を図ろうと自動的に心身の機能が働いたものの、それが癖となってしまったということが考えられます。

身体的にことで言えば、例えば、何かのことで右足に怪我をしてしまい、それをかばうように左足に体重がかかるように歩くようになって、それがずっと続いたがゆえに姿勢がおかしくなり、さらにそのせいで、ほかの体の部位にも影響が出て、体調が全体的に悪い状態になっているというようなケースです。

これと同様、心理的にも、最初のショックが起因となり、その回復や修正、あるいはショックを和らげようと、何かの思い込みが生じて、それがパターン化され、歪な形で残り続けてきたがゆえに、意識と行動にも変な偏りが出て、問題として出ている、あるいは結果としてよくない状況が生まれているということが考えられるわけです。

ショックやトラウマが原因というより、その事件によっての調整力がかえってあだとなっているというケースです。一般的には、このほうが多いのではないかという気がします。

そこで、原因にアプローチして中立化を求めるのではなく(言い換えれば浄化とか癒しの方法ばかりではなく)、物事に反応する癖のほうを変えることで、逆にバランス化が図られ、問題も軽くなったり、消えて行ったりすることが想定できるわけです。

ネガティブに思い過ぎる癖があるのなら、ポジティブになる方向や、思い方の癖を強制的にしみ込ませることで、ネガティブ認知機能の癖を意図的に修正するようなものです。

ちょっと対症療法的ではありますが、まずはそちらから変えた方が効果的なこともあるような気がします。

タロットでは、本来、カードに吉凶を見ないほうがよいのですが、それでもタロットは絵ですから、見た目、人によってよい印象を得るカードもあれば、怖かったり、変な感じを受けたりするカードもあります。

このカードの印象を利用すれば、見ていて気分がよくなる、ポジティブになれる、気持ちが落ち着く・・・というように、自分(の状態)にとってよいと思われるカードの絵柄があります。

ことあるごとに、そのカードの絵柄を見ることで、気分が変わり、それを今度は癖にしていくことで、今までの認知パターンが次第に変化していって、以前の、自分の傾いていた癖が修正されていく可能性があるのではないかと思っています。

絵柄の印象だけではなく、意味もわかってくると、さらに思考にも働くので、効果が倍増するかもしれません。

とはいえ、思考よりも感情・感覚が、このようなケースでは重要ですから、やはり、第一は自分が感じる絵柄の反応(印象)でしょう。

ということで、真理は中立かもしれませんが、人間の現実生活では、偏りが基本ですから(笑)、その偏りを逆に利用していくことで、生きるのが(一時的かもしれませんが)、楽になる可能性を示させていただきました。

ですが、最終的には、真理に至る道のほうが、自他ともに救いになるとは思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Top