坂道のある町
私は基本的に旅が好きです。「旅行」というより、「旅」という雰囲気のほうでしょうか。そんな「旅」的なものの行き先として、私は坂道の多い町をお勧めします。たとえば、
印象に残っている町としては、「尾道」「長崎」そして、ここ私の住む「神戸」もその類の町といえるかもしれません。都市単位ではなくても、身近な場所にも坂町の似合う場所があったりします。尾道は、大林監督の映画でよく知られるようになりましたが、島と陸地の水道を見下ろして、狭い山間の土地にひしめくように家々が立ち並び、独特の風景を醸し出しています。このような町を歩いていると、それはどこか大林監督の映画の世界のように、非常にノスタルジックで不思議な世界に迷い込んだような感覚が出てきます。
それはいったいなぜなんだろうかと・・・とふと考えてみますと、こうした町の道々は、狭い上に坂町に造られているので、全体を見渡すことができません。だから、“ふいに”新たな景色が目に飛び込んできたりします。そはれ予想外のフラッシュの光のような形で、突如眼前に出現します。また、坂町ゆえに、景色にはある“角度”がつきます。この、突然現れる光景と角度のある景色、さらにただでさえ感じる“旅をしているという非日常感”、これらが複合して私たち旅の者の心の中に、ある種の一時的な混乱を起こさせているのではないかと感じています。つまり、心の深いところまで含めてシャッフルさせられているのではないかと。これが普段は現れない心の中の記憶や感情を浮かび上がらせ、懐かしいような、別の次元にいるかのような奇妙な感覚にとらわれるひとつの要因となっているのではないでしょうか。
タロットカードの中にも、巡礼や旅行者の姿を感じさせる「愚者」というカードがあります。この「愚者」は、また上を見て歩いているため、その視線にも角度があったりします。“角度”というのは重要なことなのかもしれません。そういえば、ヨーロッパの伝統的な町並の中でも、日本の古い坂町のある町で感じたような感覚を味わうことができたような気もします。
旅にはよい季節です。みなさんも、坂道や路地の多い町など、旅してみてはいかがでしょうか?
宮岡さん
遅くなりましたが、HPご開設おめでとうございます。
ほんとに、宮岡さんらしい誠実さが伝わるページですね!
また、癒されに来ますね。
大薮さん、コメントありがとうございます。癒されるというお言葉は大変うれしいです。ブログは段々好き勝手書いて、そんな雰囲気はなくなるかもしれませんが…(笑)。また皆さんで、いろいろな企画が出来るといいですね。