好きなことをする

先日、家の近くの大型商業施設に、気になっていたバンドのライブがあり、聴きに行ってきました。


そのバンドは、まだインディーズなのですが、apricotという三人のメンバーによるバンドです。特筆すべきはボーカルのまきさんのすばらしい歌声で、さらに、なじみやすいながらもとても切ない歌詞の曲を持ち、主に大阪で活動をされています。私は、将来性のあるバンドではないかと密かに期待して応援しております。音楽のことはあまり詳しくない私のいうことなので、あんまり信用性はないかもしれませんが・・・(苦笑)。
このバンドのことを知ったのは、以前私が大阪難波の吉本開運健康幸福百貨店の占い館の店長をしていた時で、ある日の帰り道に、apricotさんが難波高島屋の前でストリートライブをやっていたのです。その時の私はと言いますと、いろいろなことがあって傷心気味でおり、本当に疲れた状態で、トボトボと地下鉄の駅に向かって歩いておりました。
そこに突然飛び込んできたのが、まきさんの、どこか感傷的でありつつも非常に広がりのある包み込むような歌声であったのです。たしか、スガシカオの「夜空ノムコウ」を歌われていました。私は思わず立ち止まり、それからずっとapricotさんの演奏する曲とまきさんの歌声に聴き惚れていたのでした。また、知らず知らず心が和らぐのも感じたのです。
音楽や芸術は人によって感じ方が異なります。自分にとってよくても、ほかの人には平凡なものであったりします。これには脳や何かでの科学的な根拠があるのかもしれませんが、その前にやはり、魂の反応の仕方というものについて感じざるを得ません。個々の音楽や芸術の持つ、その奥底にある魂とでもいうべきパートが、ある人の心の、やはり魂の部分と反応し合い、共鳴現象を起こしているのかもしれません。とにかく、apricotさんの歌を初めて聴いたあの時の私は、そういった感じだったと表現できるでしょう。
その後、apricotさんもCDを自主制作されたと知り、入手したく思ったのですが、自主制作なので店頭で販売しているものでもなく、直接ライブで手に入れるか、バンドの方に送ってもらうしか方法がありませんでしたので、日々に追われてそのままにしていました。でも、どこかでCDのことは頭の隅にはありました。
そんな折り、最近私が引っ越しした直後、同じ市内でapricotさんが来られるという情報を得たのです。普段のapricotさんの活動範囲からしますと、あまりこちら方面にはこられないと考えられたので、これは私にとってはラッキーのような、不思議なシンクロに感じました。
ということで、近くで行われたapricotさんのライブに出向きました。いわばスーパーの広場みたいなところでのお買い物客相手のものでしたが、相変わらずのまきさんの伸びやかで素敵な歌声が響き渡って、なかなかの感動でした。おまけにメンバーの方とも会話でき、念願のCD(メンバーのサイン入り!)も手に入れることができました。マイナーと言っては失礼ですが、それならではの特典と言えましょうか。でも私はapricotさんにはメジャーになって行ってもらいたいと願っておりますし、その力はあるように感じております。
さて、apricotさんのステージを見ていて、こういうことを思いました。それは、人間、好きなことをしている時というのは、実は大変重要なことではないかと。好きなことをするといえば、「楽しい時間を過ごす」みたいなイメージがありますが、それだけではないはずです。好きなことをしている瞬間というのは、一種のハイ状態、オンの状態ともいえ、日常から非日常の舞台に移行しています。これは言ってみれば、俗から聖への変換です。自分の中にある聖なるもの、神性のような高次の部分が、宇宙的な聖なるものと同調してつながり、自分でも思っても見なかった力や空間が出現します。また、時間の感覚も速くなったりしますので、ある種、時間さえも超越すると言ってもいいかもしれません。だからこそ、好きなことをしている人は輝いて見えるのです。こうした体験は、自分の内なる無限の可能性を開くきっかけとも考えられ、伝統的な祭りなどもこうした仕組みがあったと考えられます。人は常にオンでは身が持たないので、オフには戻るのでしょうが、この「好きなことをすること」による俗から聖への転換と、聖から俗の還元の循環が、自己の実現の拡大と完成へと導く、ひとつの大きなヒントとなっているのではないかと推測されます。そうしてみますと、好きなことを仕事にできれば最もよいことかもしれませんが、それができなくても趣味の中でも十分だと思われますので、皆さん、好きなことを持って、それを行っていきましょう。では私も早速。。。

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