伝え方にはいろいろな方法があるのです。

カモワン版マルセイユタロットには「法皇」というカードがあります。

一般的には「教皇」とか「法王」とかいわれているカードで、弟子のような者たちに、中心人物が説教や演説をしている姿で描かれています。

この「話をしている」という図像から、このカードは「何かを伝える」「伝達する」ということに関わってきます。

このカードが逆向き(リバース)で現れ、カモワン流展開法でいうところの「問題カード」として登場する時、まさに「伝えること」に関係しているケースが多いのです。

たとえば、「伝えるべき人に伝えてない」「伝えるべきものを伝えていない」「伝えることに抵抗がある」ということもあれば、反対に「伝えすぎている(つまり言い過ぎ)」とか、「伝えている内容がピントをはずれている」「伝えている人を間違えている」というようなこともあります。

「法皇」のカード一枚だけでもじっくりとカードと向き合い、カードの人物と絵柄に沈潜していけば、自分の「伝えること」の何がテーマとなって問題となっているのかが心で理解することができます。

そこまでカードに入ることができない場合でも、カモワン流の展開をすることで複数のカードが出ることにより、この「法皇」のカードの意味を、逆に外側(他のカード)から推測と判断をつけることが可能です。

カモワンメソッドによる展開の長所は、このようにカードのイメージに入りきれない時や自分(リーダー)の調子の悪い時でも、一緒に出た他のカードの出方によって、ある程度意味を推し量ることができるのが特徴といえます。

このテクニックをマスターすると、どんな場合でもリーディングの方向性を間違うということはなくなってきます。

またカモワンメソッドを知っている人にとっては、誰がやっても普遍的に同じ読みに近くなるというわかりやすい利点もあります。

さて、法皇の「伝えること」に戻ります。

人は「伝える」ということを聞きますと、すぐ「言葉」という音声言語をイメージしますが、伝え方にはいろいろな方法があることを改めてここで考えてみてほしいのです。

たとえば、タロットもそうですが、「絵」で見せ、伝えるということができます。「文字」を使うことも可能でしょう。身振り、手振り、あるいは「態度や行動」で示すということも考えられます。

日頃悪さをしている子供に対して、直接ガミガ怒ることをせず、ただ黙々と働く父親の後ろ姿を見せることで子供が改心してしまうということもあるように、むしろ言葉がないほうが説得力を持つ場合もあります。

言葉で相手に的確なことを伝えるのには、ある程度慣れや修練を必要とします。そのため、伝達技術の向上に話し方を学び、実践練習していくのはよいことです。

けれども、もともと話すことがとても苦手な方は、あまり無理しすぎることは問題となるおそれもあります。

それよりも、自分に合った伝達方法を探してみたほうがよいかもしれません。

絵を描くほうが楽だ、文字のほうが素直に伝えられるなど、きっと言葉以外の自分の得意なコミュニケーション方法が見つかるはずです。

また話すことに特に抵抗がない人でも、状況によっては言葉一辺倒で伝えるのではなく、文字や態度を使うほうが適切なこともあります。

自分がスムースにできる方法や好きな伝え方のスタイルに気がつけば、それをさらに伸ばしていくことで、あなたは言葉とは違った意味でのコミュニケーション上手と呼ばれるようにになるかもしれませんね。

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