キツイことを言わねばならない時。
前回は、 人を傷つけないためにも 「図星をいきなり言わない」ということをお話しました。
それでも本人のためには、時には厳しいことも言わなければならない場合もあります。
それには、
本人との関係を十分につける
ということが前提条件として必要です。
本人との関係、つまり心理学用語でいえば「ラポール」を築くことに当たり、お互いの信頼性や親密性を作ることを意味します。
ラポールがついていますと、少々のことでも人間大丈夫なものなのです。
たとえば「君って笑えるよね」と言われたとします。
これがとても親しい間柄同士なら、自分も「そう、私ってちょっと変でしょ、アハハ」と笑って好意的にとることもあるでしょうが、逆にあまり親しくない関係だと、「どこがですか!? 失礼な人!!」と不愉快な気分を感じてしまう可能性が大です。
お互いに信頼していればキツイことを言われても(あるいは言っても)、「自分のために言ってくれているんだ」と感情的に納得することができます。
このことは、私が使うカモワン版マルセイユタロットにおいても、人にものを伝えることを表す「法皇」のカード前(タロットの番号順)に、相手を受け入れるための「斎王」(ほかのタロットでは「女教皇」に該当)というカードが存在していることからもわかります。
ラポールがついた関係を築くには、それなりの時間がかかります。特別な場合を除き、普通は会った瞬間に相手を信頼するなんてことはありえません。
相手に受け入れてもらうための時間と関わりが必要なのです。
そして十分に関係がついたと思えたところで、相手にとって少々耳が痛いかもしれないけれども相手のためになることを語るのです。
ただ、この時もまだ多少の配慮がいります。自分では関係がついていると判断していても、相手はそう感じてないこともあるからです。
また信頼関係があっても、やはりモノの言い方によっては相手を傷つけることにもなりかねません。
ですから「ここがダメ」という否定でのもの言いよりも、「こうすればいいと思うよ」というように、できるだけ積極的・肯定的方向で言ったほうが相手も傷つきにくくてよいでしょう。
やるべきことや、誤りなど、実は本人にはもうほとんどわかっていることなのです。従ってそのことを言われるだけでもかなり「痛い」ことだと言えます。結構相手に配慮したつもりでも、思いの外言われた本人には応えているものです。
とはいえ何事も避けてしまう事なかれ主義でいては相手のためにもなりませんし、そもそも痛いことを避けようとするのも、相手ではなく自分に問題がある場合もあるのです。(自分こそ問題を直面することから避けているケースあり)
このあたりは難しいところではあります。
結局のところ、相手のためを心から思う誠意によると私は思っています。
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