先生と生徒の姿勢により、縁と世界は変わるのです。
タロットカードには「教えを受ける」ということを示唆するものがいくつかあります。
ところで、カモワン版マルセイユタロットの場合、カード単体で考えることは少なく、基本はセットやペアで見ていくことが多いものです。
そこから「教えを受ける者」と「教えを授ける者」というペアも登場してきます。
たとえば「愚者」というカードと「隠者」というカードはその関係を示すことがありますし、その他の組み合わせにもあります。
いずれにしても、両者の関係の中に「学び」は生じます。
ということは、学ぶ側と教える側とのとらえ方によって、「教え」そのものの感じ方や内容さえ変化してくるともいえます。
皆さんも学生時代を思い出してみましょう。
誰でも印象的な先生が思い浮かんでくるのではないでしょうか。
一人くらいは「ああ、いい先生だったなあ」と思う方がいらっしゃるでしょう。
その先生が教えていた時間は、あなたとってはどんなものでしたか?
きっと楽しかったはずです。そしてその先生の教える科目や内容が、いつも以上に自分の興味や関心を高めてくれたことでしょう。
反対につまらない(と感じる)先生に当たった場合、好きだったその科目でさえ嫌いになる時もあります。
つまり、教える相手と自分の感情・気分によって、教えられる内容への興味・理解も変わってくるということです。
これは重要なことですよ。
たとえば「1+1が2になる」ことを単純にそのまま説明する場合と、みかんやりんごなど持ってきて説明するやり方(しかも、みかん+みかんの場合と、みかんと+りんごでは何が違って何が同じなのか説明する方法)とでは、比べてみるとどうでしょうか?
おそらく後者のほうが、その後の算数や物事への興味もわいてくるでしょう。少なくとも残る印象だけでもかなり違うはずです。
そこから将来、数学者になる人も出るかもしれませんし、商売で成功を収める人もいるかもしれません。
人には等しく、いろいろな才能や輝く個性が眠っていると考えられます。
しかしそれは何かのきっかけで引き出されるか、引き出してもらわないと、原石のままで終わってしまうおそれが高いといえます。
そのきっかけが学習での過程にあることも多く、それを考えると、教える側の工夫、人間としての魅力があること(魅力を作り出す努力)はとても大切だということがわかります。
「先生と生徒の出会いも、結局縁だ」とひとくくりに言ってしまうのは簡単です。
けれどもこの世界は、人の思いと行動でかなりの部分を変えられることができる「次元」です。
たとえば教える側・先生側の努力によって、教えられる側・生徒側の興味を広げることができれば、それだけ生徒の才能・能力を広げる(見つける)ことにもつながり、その広がった分だけ、生徒自身の縁も拡大していくということになるのです。
自然や流れに任せたままの縁と、自力でさらに広げた縁とでは、その縁から生ずることに多少が出るのも当然になります。(まさに縁起ですね)
さて学生時代ならいざ知らず、大人になった私たちは、教える側の努力だけを期待していてはいけません。
カモワンタロットで説明しましょう。
最初に「教え、教えられる関係」はペアでカードで出ると述べました。この時、カード同士の人物の視線は正立で向き合っています。
もし教える人間を表すカードが逆向きになり、視線を別の方向に向けてしまっている場合、当然、教えを受ける側の人間(カード)の視線は、その人の背中の方向を見ることになります。
これを見て「ああ、先生は違う方向を見ていて、私には関心がないのだな」と感じたり、「先生はあらぬ方向を見て間違っていらっしゃるのだ、私は先生を選ぶのを誤った」と思ったりするかもしれません。(そうリーディングすることが正しいこともあります)
しかし、「背中を向けている先生に対してでも、その背中を通して学ぶことはあるのだ」という発想を持つと、がぜん面白くなってきます。(ポジティブにもなれます)
たとえば、人格は問題だけれども教え方(技術)はすばらしいとあなたが感じる先生もいらっしゃるでしょう。
反対に、この先生は教え方は今ひとつだけれども、言いたいことや人間性にはすばらしいものがあると思える人もいます。
またこの部分は今の私にはあまり参考にならない、でもこちらのパートは取り入れたいと判断できる場合もあるでしょう。
そのようにひとつのことから全部を判定するのではなく、いいところだけを取り入れ、悪いことは相手の問題であり、学びそのものとは切り離して考えるのです。
私たちはすでに一方的に学びを受ける子供ではありません。
相手を「この先生、つまんない」と単純に一刀両断するのではなく、その中でもよいところはないか、活用すべきところはないか、最悪でもまさに反面教師とする部分はないかとなど考えてみるのが大人というものでしょう。
今日は学びという観点から、タロットを通じて考えてみました。
そこには愛が大切と、改めて思いました。
>きりさん
そうですね、愛は一番大切なことだと私も感じます。