タロットカード「13」から考える、人を傷つけるということ。

タロットカードの「13」は、怖い印象を持たれるカードでもあります。タロットの種類によっては「死神」と呼ばれている場合もあります。


しかし本当は恐怖を感じる必要がないことは、カードとつきあっていくとわかってきます。


それでも絵柄からして、どうしても人のネガティブさの部分に反応してしまうところは確かにあります。


ということで、今回は「13」のネガティブパートを少し考察してみましょう。


「13」は刃物として大鎌をもっているところから、「傷つける」「傷つけられる」というイメージが出ます。


他人を傷つけるのは言語道断だとしても、意外に私たちがよくしているのは、「自分を傷つける」ことです。


人をいじめるのは無論よくありませんし非難されるところですが、その行為が自分に向かっている時には人はあまり関心を持ちません。


自分を傷つけるというのは、自分で自分をいじめているのです。


いじめをしている人の時の脳にはアドレナリン(に類するものも含む)の分泌が多くなるといわれています。


つまり興奮麻薬物質ですね。人をいじめることが快感につながっているというわけです。


一度いじめをしたことで得られた快感状態を脳が記憶し、自分を再び気持ちよくさせるために、いじめを繰り返すようにもなると考えられます。


段々いじめがエスカレートするのも、脳への刺激を強くしないと麻薬が効かなくなるからではないかと推測されます。


さて、このようなことは自分をいじめている場合にも考えられます。


自分を必要以上に虐げ、卑下させることによって、むしろ快感が出るようになっているのではないでしょうか。


「私はダメな人間」「私って何の価値もない」「私は悪者だ」「いつも損している」「被害を受けているのは私よ」・・・


このような言葉で自分を責めていると、いつしか気持ちよさに変わってくることもあるのです。


自分を貶めることで同情を買える、なぐさめてもらえる、優しくしてもらえるという期待のために自分を責めることもあります。


でもこれも、あとの快感(なぐさめてもらう心地よさ)を得るためだと考えると、似ているところはあるいえましょう。

人をいじめる人も自分をいじめる人も、おそらくともに麻薬のようなもので気持ちを紛らわせなければならない根本的なネガティブな部分があるのだと予想されます。


それは不安や不満であったり、怒りや悲しみであったりする感情でしょう。


それを隠すために、傷を付ける行為(実際の行動だけではなく、言葉や感情での思いも意味します)をし、麻薬的にごまかすことをしているのかもしれません。


タロットカードの「13」の逆向きは、それをよく表していると思います。


カードに描かれている黒い土の底には、本来見なくてはならないネガティブなものが隠れています。

それが逆向きでカードが出ると、土を掘り起こすはずの鎌がまるで空を切っているかのように見えますし、その鎌は他人や自分自身に向かっている(刃物の重みで結局自分に降りてくる)ようにも感じます。


また心なしか、この時の「13」の顔も、むなしく力のない笑みを浮かべているかのように見えてくるから不思議です。


これでは土の中に隠されたものも出てきませんし(見つけることができない)、一時的な快楽のために、自分は骨と皮だけの荒廃した精神や肉体の状況に陥っていくことも考えられます。 


カモワン版マルセイユタロットの「13」では、鎌の色も、正位置では霊性や高い精神性の意味を持つ空色が上ですが、逆になると血の色である赤が上に来ます。


人や自分を傷つけていれば、血が出るような痛みが本来あるはずなのですが、それを感じなくなるどころか、気持ちよさとして誤変換されてしまうという恐ろしい機能も人間にはあるようです。


いかに自分を守る防衛システムが人間には働いているのかが、このことからもよくわかります。


結局過剰な防衛反応が「13」におけるネガティブさを招いているともいえるでしょう。


ということは、防衛しなくてはよい状況を自分に作り出すことが大切です。


それは自己開示しても安心できるという心、様々な処理しきれていない感情の部分を浄化したり、認めていったりすることにつながるものでしょう。


今述べたことは難しいことがあるのも確かですが、本当の自分を知ることに勇気をもって挑戦する時、それら(防衛しなくてもよい状態)は次第に得られていくものではないかと私は思っています。

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