占いで当たること。
「占い」といえば「当たること」が重要だと考えている人は多いものです。
当たる占い師でなければ見てもらっても意味がないと述べる方もいます。
確かに自分に当たらないことばかりいわれても、「はあ?」となるのは人として自然な反応だと思います。
言われていることがピッタリ符合するのであれば、その後に話されることも受け入れやすくなるというものです。
つまり「当たる」ということは、相談する方、される方の両方の信頼感をつなげる(ラポールをつける)役割もあると考えられます。
ということで、当てることはやはり大切な面はあります。
一方、当たることはそれほど大事なのかどうか、改めて考えてみるのもまた違った観点が得られます。
例えば、これから先のことが100%正確にわかる本があったとしましょう。
ここに就職を控えたある男性がいたとします。彼はその本を入手することができたので、早速それを利用することにしました。
すると本には、「A会社の採用には落ちるが、B会社に決まる」と書いてありました。
彼は、「なんだ、だったらC会社もD会社も受けずに済むな」と思い、あとは就活せずにのんびり過ごすことにしまた。
その後本に書かれていた通り、彼はB会社に就職が決まりました。
それからも彼は本を利用します。結婚についても無駄なことは一切せず、本で予知されていた相手と交際し、結婚することができました。ただ、相手は自分の理想とは違っていたのが残念でした。
本はまだまだ膨大なページがあったのですが、このあたりでいっそのこと、自分の人生すべてを知っておこうと彼はその先も読むことにしました。
今までは先を知りすぎることに怖さも感じて一部しか開いていなかったのですが、結婚を機に、どうせならと一気に読破することに決めたのです。
最初はドキドキしながら読み進んでいました。どうやら一年後には無事子供にも恵まれ、さらにもう一人の子供もできるようです。
一時会社の業績が悪くなって人生の危機を迎えるようですが、転職が成功し、別の会社でそれなりの役職を得て暮らすようです。退職後は内臓を悪くして手術もあるみたいですが、命には別状はないようです。
子供達も二人とも家庭を持つようですが、一人は離婚すると書かれてあります。どうやらその子には、だいぶん経済的には援助しないといけなくなるみたいでした。
そうして、とりあえずつつがないというか、一通りの人生を終えて80才で亡くなるみたいです。
彼は「ああ、よかった」と安堵した反面、すべてこうなるのかと思うと、急にやるせない気持ちになってきました。
何をしてもこの通りになってしまう人生。レールがもう完全に敷かれている人生。。。
それでも彼は「悲惨な人生になるよりましだ」と、気を取り直し、それからの生活を送っていくことにしました。
けれども空しさはいつもつきまといます。
時には何とかレールからはずれようと思い切った行動をしてみるのですが、その都度なぜかブレーキがかかったり、誰かに止められたりして、結局あの本に書かれたままの人生に引き戻されるのでした。
次第に彼は喜びも楽しみも感じられなくなっていきました。そして、とうとう寿命と刻印された80才がやってきて、そのまま予定通り息を引き取りました。
最後の臨終の間際、彼はこうつぶやきました。
「もう一度、予定のわからない人生を歩んでみたい・・・」
いかがですか。すべてがわかってしまうことは、このようにとてもつまらない人生になってしまうのです。
この物語の彼も、要所要所だけ本を読めばもっとワクワクした人生が歩めたかもしれません。
しかし一部を知ると、ほかのすべても知りたいと思うのが人情であり、それもある意味誘惑といえます。彼はその誘惑に負けたということであり、いわば本を活用するのではなく、本に自分が操られたことになったわけです。
つまり当たることが全部悪いわけではなく、いかに自分の人生の可能性を制限することなく(依存することなく)、それを有意義に活かしていくことができるかということにかかっていると思います。
結局当たる占いも、この世であなたに提供される様々の情報や道具のひとつに過ぎません。
大切なのは、人生の主役は道具ではなく、あなた自身だということなのです。
感動しました!
ほんと、そうですよね。
>雅ゆう☆Miyabi-Yuさん
コメントありがとうございます。
占いをする以上、当てる当たるという観点からは逃れられませんが、そればかりにこだわる方に違ったものの見方をもってもらいたく書かせていただきました。
小さな物語を読んでるようでした。
ほんとにそうですね。
「働きたくないよ~」と思いつつ
生活のために仕事をしてますが・・
最近はお金だけじゃなく、健康もいただいてると
気づきました。汗水流したお金で好きなことが
できるというのは、とっても幸せなことですね!
>terimuさん
terimuさんのおっしゃるとおりですね。
見方や観点を変えれば、今までマイナスに思っていたこともプラスに見えてくるものですね。