あなたにもできるよ! いや、できないですよ。
よく「私にもできたのだから、あなたにもできるはず!」と、強く励ます方がいらっしゃいます。
別にこれは悪いことではありません。それによって、実際に勇気をもらえることもあります。
しかし、ここで考えてほしいことがあります。
「私にもできた」というその人は、前の自分とは「今は」違っているわけであり、いわば問題を克服して、思考方法(考え方)自体も大きく変化しています。
しかしながら、言われている相手の人は、あなたとは思考形態が異なっており、それゆえ、行動様式も「変われるはず」と言っている人とはずいぶん違っています。
それはある意味、国籍や時代が異なっている人を相手しているようなものです。
ここにコミュニケーションのギャップが生じているのです。
まかり間違えば、アドバイスのつもりが、「そりゃ、あんただからできるんだよ!」と強い反感を買ってしまうおそれもあります。
相手と自分、すでに立場や考え方が変わっている(特に自分の方がポジティブに上昇した)場合、伝えるべき人は、自分が登ってしまったはしごを降りて、もう一度相手と一緒に立つ必要があります。
そうしないと、変化を遂げたあなたには常識だと思っていること、考え方、行動パターンも、相手にとってはかなり遠くて、大きな、ありえないくらいの量やエネルギーを感じてしまうのです。
元気づけるはずだったのが、「もう無理」「そんなこと言っても、私とあなたは○○が違う」と、逆に相手の落ち込みを激しくさせます。
ここに励ましの危険性があるのです。
ではどうすればよいのでしょうか。
先ほど、伝える側の人は相手の次元まで、はしごを降りるということを述べました。これがヒントです。
はしごを登ったままの上のフィールドから物を言うのではなく、登る「はしご」があること自体を伝えるのです。
そしてあなたが登ったはしごがどのようなものであったのかを、相手の状況と心、以前の自分を思い出しながら説明します。
つまりは、変化の方法とそのステップ(段階)を教えてあげるのです。
それも空中庭園に登るような長大なはしご全体を話すのではなく、まさに相手のいる地上から一段目、あるいは二段ほど上がる(足をかける)やり方や経験談を強調して伝えることです。
ファーストステップ、はじめの一歩です。
もちろん、地上と一段目のはしごの幅を広くして伝えてはいけません。手や足がかからないようなはしごは、はしごとは言えません。
「あなたにもできる」という意味においては、相手が本当に「今」できることを話すことが重要であり、目標や完成地点、すべてを伝えることは、相手にとって重荷になる場合があるのです。
あなたには今いる場所に到達した過程やドラマはものすごく大切で、自分が乗り越えてきた財産でしょうが、全員が全員、あなたと同じ道とやり方が通じるわけでもないのです。
やはりあなただからできたことと、できなかったこと、この人だからできること、できないことを区別することも時には必要です。
いわば、終わりから見ているあなたと、始まりから見ている相手との違いと言えましょう。
その上で、「やはり私にもできたもので、この人にもできる」と思えることを一緒になって探し、伝えていけば、本当に二人の立場はいつか同じ場所にいることになるでしょう。
今日述べたことは、すべてカモワン版マルセイユタロットのタロットマンダラ第5列(「法皇」「吊るし」「太陽」)が物語っていることなのです。
見守る…ということですか?
初めまして♪
竹本さんのところからちょこっとお邪魔致しました★
ブログ読ませて頂いて激しく納得しました!!
あなたにもできるよ!!は口先だけの励ましだなぁ、でもありがち。と思っちゃいました。。。
すごくためになりました、またお勉強させてください(*^_^*)
>ぐーちゃんさん
この場合の吊るしは複数の意味を思っていますが、もちろんおっしゃるように見守るというのもありますし、逆に(足下から、つまり相手の立ち位置から)見るということもあります。またカモワン氏のサイトでは、「吊るし」にも「はしご」があることがわかりますよ。
>mapunさん
コメントありがとうございます。竹本さんのところからということでまたうれしく存じます。
まあ、簡単に言いますと「上から目線」で言われて、それを感じさせてしまうとムカッとされたり、心に響かないということですかね。アドバイスをする方はどうしても上からになりがちですが、気をつけたいところです。こういう仕事の私自身が一番気をつけなくてはならないのですが。(^^;)