「節制」することに救済がある。
タロットカードに「節制」という名前のついたカードがあります。
ここでも何度か取り上げていますよね。
「節制」(カモワン版マルセイユタロットを例にしています)は、22枚の大アルカナ(重要なタロットカード22枚のこと、タロットは全部で78枚あります)の中でも、一番「天使」としての存在が単体でクローズアップされていますので、「救済」や「援助」的な意味合いをもつカードです。
けれども、その名前が示すように、「節制」という側面もあるのです。
「節制」の名は、「節制」のカードの天使が持つふたつの壺の水の扱い方に由来すると考えられます。まさに壺の水を一滴もこぼさないかのごとく、「節制」して調整している姿が描かれているのです。
ここから節約するとか、節度を保つとか、セーブするとかいうような内容も読み取れてきます。
またそのこと(節制すること)は象徴ですから、節制する対象を具体的にあてはめて行けば、実際のタロットリーディングができてきます。
たとえば、お金、時間、人との交際やつきあい、モノの扱い、仕事、遊び・・・などなどです。
一枚引き(タロットを一枚だけ引いて占うやり方)の場合ならば、自分の現況にあてはめて、何を節制しなくてはならないのか? あるいは何を浪費したり、消費し過ぎていたりしているのかを思うことで自分の心当たりが出るはずです。
またカモワン流ではカードの人物の視線の方向や、複数のカードとのコンビネーション、関連を重視しますので、「節制」の天使の視線の先のカードによって、その対象を見極めたり、ほかの解決カードと呼ばれるカードで節制する対象を推測することもできます。
さて、やはり「節制」のカードのリーディングケースでも、また一般的においても、節制しなくてはならない四大要素となれば、お金・時間・人(交際・交流)・食事(健康関連)と言えましょう。
奇しくも、カモワンタロットの絵図・タロットマンダラでは、「節制」の視線の先は「13」のカードであり、この二枚のカードは前にもカップル・ペアの関係になるとお話ししたように、やはりここでも関連性が出てくるのです。
「13」は大きな鎌を持ち、究極まで無駄なものをそぎ落とす意味のあるカードです。昨年流行した「断・捨・離」をもっとも象徴するカードと言えましょう。
つまり、「13」と「節制」のペアによって、「お金・時間・人との交際・食生活などを見極め、無駄なものに注意を払う」ということになるのです。
具体的に言うと、お金を使いすぎない、時間をだらだらと無駄にしない、人に気遣いすぎて会わなくてもいい人に会ったり、くされ縁で切るべき相手とずっと交際を続けていたり、健康に無頓着で食べたいだけ食べるようなことをしないという意味合いになってきます。
現代は情報社会で、黙っていても周囲から極端な積極志向や拡大発展を無理からに促される傾向のある時代です。
「節制」と「13」は、またそうした行きすぎた外部からの影響を絶って、自分自身のできる範囲(二つの壺の水の象徴)で集中してやればよいということを伝えています。
「節制」に描かれている壺は黄色と赤に塗られていて(これにも意味があります)、透けては見えません。
しかしこれを透明な壺というように想像しますと、当然、片方の壺に水を流し込むと、もう片方は空っぽになっていくのがイメージできるでしょう。
そう、この空っぽに一時なるということが重要なのです。できた空白に余裕ができ、何かを新たに受け容れる素地も生まれるのです。
また壺から流れる水は液体だと思いこんではいけません。
水飴を練って固めていくように、次第に自分の中に知識や経験として固まって凝縮されていることも表しているのかもしれないのです。
すると、液体だった場合にはいっぱいいっぱいだった壺のスペースも、コンパクトに固体として圧縮された分、新しい空間が生じることになるのです。
その作業を「節制」の天使はしていると考えられます。
ということは、現実的には、落とし込み・そぎ落としなどと表現される整理と調整をするということになるでしょう。
それにはやはり多少の時間がかかります。
結果を出すためには、あえて拡大するよりも凝縮し、無駄なことに手を出さず、現在あるもの(お金・時間・人・その他資源)をもっと効率よく活用できるよう見直すことも必要となってくるのです。
それが今混乱にいるあなたを救うことにもなるので、この意味でもやはり「節制」は「救済」の天使とも言えるのです。
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