プラス1で考える

年末年始ともなりますと、年の振り返りと、新年における計画、目標などを立てたりします。

言ってみれば、年の切り替えにおける心の作業ですね。

マルセイユタロット的に切り替えと言えば、例えば、大アルカナでは、「運命の輪」「力」「13」「神の家」「審判」などが示されるでしょうか。

ほかに、最高度の境地や完成を象徴する「世界」も、至ったあとの新次元に向かうということでは、当てはまるかもしれません。

数にこだわると、タロット的には、7を単位、あるいは10を単位にして切り替わるという考えができます。どちらかと言えば、7は大アルカナ、10は小アルカナ(のうちでも数カード)に適用されますが、大アルカナでも10に分けることはできます。

しかしながら、結局、どのカードにおいても、一枚単位の場合、それに「1」が加われば、次なる展開に進む切り替えが行われる(た)ことになるでしょう。

ということは、「1」は、それそのものが新規のエネルギーに満ちているとも言えます。数秘的には、10を単数化すれば「1」にもなりますので、「1」は、ある意味、10を内包しているとも考えられます。

さきほど、10をひとつの単位とした区切り、切り替えがあると話しましたが、そこからしても、やはり「1」が加わることは、ひとつのシリーズ(10という単位)を踏まえたうえでの大きな成長であることがわかります。

大アルカナだけ見ても、次のひとつ進んだカードには、単純なひとつではないものが加わり、成長していると見ることもできるわけです。

さて、今日はそんな「1」が加わる話をしていますが、これを象徴として、あと一歩進んでみる、あるいは、あとひとつ待ってみるということの見方を提案したいと思います。

人は、ある事柄について、長期的に考える(見る)こともあれば、短期的に見ることもあります。

心の負担という意味で考えますと、長期的に見たほうが楽になる場合と短期的に見たほうが楽になる場合があります。

また人によっても、長期的に見がちな人と、短期的に見がちな人との傾向に分かれます。

もし自分が、あることを思った場合、長いスパンで見るとつらくなるという時は短期的に見たほうがよく、その逆もまたしかりです。

例えば、私自身のことで言えば、昔、就職する時に、「これから40年も、サラリーマンとしてこの仕事を続けなくてはならないのか」と考えてしまうことがあり、非常にプレッシャーを感じて、神経症一歩手前にまでなったことを記憶しています。

まあ、実際は最初に就職したところは数カ月で辞めることになり、次に公務員試験を受けて何とか合格し、公務員を続けてはいたものの、ここも結局辞めることになったので、当初の悩みは関係なかったわけです。(笑)

今思えば、長期的に考えるのではなく、「とにかく一年間は働こう、その先はその時考えればいい」くらいの気持ちでいたほうが、もっと気持ち的には楽だったでしょうし、案外、特に公務員は最後まで続いていた可能性もあったかもしれません。(辞めたことに後悔はありませんが)

そして、今の世の中、ますます混沌化しています。コロナ禍など、その前は誰も予想していなかったでしょうし、この先、どうなるかは、ほとんどの者がきちんと予測はできないと思われます。

ですから、今は、意外と短期的に考えたほうがよいのかもしれません。ただ、その日暮らし的な安易な態度は問題で、長期的に見ておかねばならない項目もあると言えます。

それで、話を戻しますが、たとえ短期的に見るにしても、タロット的に、「あと一歩」を思って行動するとよいのではないかと考えます。

例えば、「もうここは辞めたい」と思っていたとしても、あと一か月とか、あと一年とか、あと一日とか、期間を延ばして考えてみるというようなことです。

これは、少しの期間を追加して必ずそれまで待たねばならいと言っているのではなく、プラスアルファを加えて全体の決断を考慮してみるということです。その意味では、決断として、今すぐ辞めるようなことも起こり得ます。

単位は自由です。年単位でも週単位でも一日単位でも、時間単位でも、とにかく、あとひとつ加えて、全体を見てみるという感じにします。

そのひとつ、言わば「1」が、凝縮した全体性をも内包するからこそ、わずかな一歩、ひとつの考慮が、結果を変えていくことになるかもしれないからです。「運命の輪」のタイミングとでも申しましょうか。

さらに、タロットカードのリーディング技法として、ひとつご紹介すると、大アルカナの一枚引き(正逆は取りません)をして、その出カードに1を加えた数のカードも一緒に出して見ることで、今の(最初に出した)カードの現状を分析するというものがあります。(「愚者」と「世界」が出た場合は特例で、ほかのカードから一枚引くとよいです)

これを占い的に、ただ現在と未来のカード(こうなると)と読むのではありません。

「1」を加えた次のカードが、現状への導きや浄化の意味を示しているとか、新たな視点を与えているとかを考え、今の(最初の)カードを考察するのです。

例えば、初めに2「斎王」のカードを出したとすれば、次に1を加えた3「女帝」を想起し、同じ学ぶにしても、自分のオリジナリティや創造性が出るようなものを学ぶとか、計画性を持って学ぶとよい、というような具合です。

ほとんどの人は理解していませんが、「1」は実は完全を象徴する数でもあります。(現代の、単純な数列的な数の概念では理解できないものです)

部分としてのひとつではなく、全体としてのひとつなのです。(ただし、部分としてのひとつにもなり得る)

ですから、「1」が加わることは、破壊や創造にもつながってきます。(まったく別次元に変わる可能性、それは旧態の破壊と創造でもある)

単に増えてうれしい、喜ばしいという話ではなく、「1」が加わるその過程には、壊れ、失う、試練もあり得るわけです。(加わって変質・変容するプロセス、「13」や「神の家」の象徴に近いもの)

ということで、今日は、「1」の視点で、短期的に見ると楽になるということと、矛盾するようですが、あと一歩加えて、全体を考察し、いわゆる辞め時とか、続け時を見極めるということをお伝えいたしました。

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