マルセイユタロットの「戦車」と成功

今日は、マルセイユタロットの「戦車」について少し書いてみたいと思います。

「戦車」のカードは、凛々しい男性が馬車のようなもの乗る姿がメインで描かれています。

しかし「戦車」という名前なのに、武器のようなものは特に見当たりません。乗っている人物も、剣ではなく、王笏のようなものを持っています。

マルセイユタロットでは、カードの数単体の意味だけではなく、その数までに至るものが含まれていると考えます。すなわち、7の数の「戦車」は、1から6までの過程を経てきている(獲得している)と見るわけです。

そういうことからも、「戦車」においては、戦いはすでに終わった部分と、これから先の戦いを見据えている両方の領分があると考えられ、特に今後の戦いには、物理的な武器ではないものが必要(逆に言えば物理的な武器は不要)ということかもしれません。

ところで、「戦車」の意味で、よく言われるのが「勝利」とか「成功」です。戦いに勝つことが成功でもあると考えるわけですね。

世の中で一般的に言われる「成功」とは、有名になるとかはあるかもしれませんが、結局は経済的側面が強いでしょう。現状の資本主義社会が、経済的価値を至上に置いているところがあるので、当然と言えば当然です。

ですが、物質的に恵まれていても、昔からよく言われているように、心の幸せ(充実)がないと成功とはいえないのかもしれません。従って、かつては「成功」を「成幸」と書くようなことも、一部の人では流行っていたようにも思います。

何事もふたつの質があるのは、宇宙や世の中の分類原則みたいなもので、モノだけでは満たされず、一方、ココロだけで満たされようとしても、モノが不足していると、普通の人は不自由さに苛まされます。

しかし、モノの飢餓感はモノでは解決できないことも多く、ココロの平穏さ、自信、自分を認めることによって、飢餓感から逃れられるきっかけになることもあります。

「戦車」にも馬が二頭いるように、単に「勝利」とか「成功」を願ったところで、片方だけの世界の進行(発展・充実)では、戦車は傾き、倒れ、進ことができなくなります。(実際の「戦車」の絵柄は、車輪の方向性がおかしく、物理的な運動ではないことを示唆していますが)

ですから、通常言われる「成功」も、お金やモノを獲得する、満たすだけでは成功とは言えず、ココロの満足や平静さも必要ということになります。(お金があれば自然に満たされると思っていても、そうもいかないのが人間です)

サクセスsuccessという言葉には、下から登って行く、次に進むというような意味合いが語源的に考えられるようです。がむしゃらにただ進むだけが成功ではないことが、語源からもわかるわけです。

それはいきなり成功が出現するのではなく、言わば、積み重ねが重要ということで、階段を上って成功に至る(近づく)ということがイメージされます。

成功に登る(行き着く)ためには、一段一段の確信、自信のようなものが必要と言えるでしょう。しかしながら、自分に自信を持てない人は多いものです。

さきほど、モノだけではなくココロも大事という、当たり前の成功概念を述べましたが、“自信”というところでは、目に見える結果によるものもありますが、それ以上に、内面やココロの領域での自信と落ち着きが大きな要素となるでしょう。

そこで様々な心理メソッドなども必要となってくるのですが、一方で、「運」というものに注目すると、自分は不運だとか、ついていないと思っている人は、当然ながら自信も持てていません。

これは(運も)思い込みと言えば、究極的にはそうかもしれませんが、学業、人間関係、仕事、健康などの分野で大きな問題があったり、人より問題が続いたりすると思うと、やはり不運だと感じるわけです。

負のサイクルのようなもので、現象としての問題がネガティブな感情を強化し、そのネガティブさが運を変える転換を阻害している(誰しも運の波があるのに、その波の運動が緩慢になったり、固定に近いものになったりする)おそれがあるのです。

ということで、自分が思っているネガティブ的な自身の運勢を、良いものに換えたり、開運したりしていくことをやってみるのもひとつの手です。(運というものが実際にあるとかないとかというより、運がよくないという思いが変わる手段、開運したかもしれないと感じるようになる方法が重要ということです)

これはサクセス(成功)のための、土台づくりです。自分のココロがダメダメに支配されていては、戦いに出るどころではありません。まずは自信をつけるための手段を講じることです。

最初は自信の獲得というより、全ダメ状態からましな部分への発見の努力をし、ましからまあまあへ→結構行けるところもあるかも→いや、行ける→やれるよね→私って俺って、なかなか行ける人じゃね?(笑) というような感じに、少しずつ変化させていくわけです。

まさに、成功の語源をたどるようなものです。

もちろん、運だけではなく、自信が持てることがあればよいわけですから、得意な分野を伸ばすとか、新しく何か身に着けるとか、人に相談して、自分のよいところを探してもらうとか、ネガティブ・不安になってしまうココロの要素を分析して癒してもらうとか、ということからでもよいのです。

マルセイユタロットで言えば、車輪を持つカード同士で、「戦車」と「運命の輪」の連係作業みたいなところでしょうか。

自分における新たな自信サイクルを作り上げること、これが自分としての成功につながっていくと考えられます。

「運命の輪」でコンクリートを回して作り、それを道路にして、「戦車」として進んでいるようにも見えます。

人によっては、自分が進んだ後に道ができてしまう、開拓者としての役割の人もいますが、多くの人は、このようにコンクリートを作りつつ(練りつつ)、道を作って進んで行く方法が、成功への王道と言えましょう。

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