夏の映画 沖縄映画編

夏、暑くて外に出る気がしない人には、自宅で映画鑑賞(と言っても宅配サービスでなかったら、レンタルショップには行かなくてはいけませんが・・・)などもよいものです。


そこで、夏を感じさせるというか、夏の鑑賞にお勧めな映画を、私の好みで勝手にいくつかご紹介したいと思います。
まず暑い時こそ、南国の映画が似合ったりしますが、それも沖縄(または離島)を舞台にしたものが結構癒されたりしていい感じです。(戦争テーマものはまた別とします)
ということで、沖縄やその離島を舞台にした映画を最初に何本かとりあげます。
「ナビィの恋」
ひょうきんなノリで始まっていっても、実は純愛がテーマの作品です。西田尚美主演ですが、沖縄作品ではよく登場する「ちゅらさん」でおなじみの“おばぁ”こと平良とみさんが、本当の主人公(「ナビィ」とはおばあさんの名前)だったりします。この平良さん演じる“おばぁ”のご主人“おじぃ”の「愛」がまた泣かせます。。。激しい情熱と、それを包み込む島と人の優しい風のようなものを感じさせる映画です。また沖縄音楽とアイリッシュなど西洋音楽が混ざったBGMと、場面転換の間の使い方がよいです。
「ホテル・ハイビスカス」
上記、「ナビィの恋」と同じ中江監督の作品。同じ家族とその家族が経営するホテルを舞台にしたオムニバス形式の映画。さりげなく沖縄の負の部分も見せながらも、おおらかに生きていく人たちを描いてます。また祖先の信仰や精霊に関する考え方も沖縄の風俗として出ており、最後の話「お盆どうーい」に代表される“目に見えない世界と日常が微妙に交錯する不思議な感覚”が得られます。
「パイナップル・ツアーズ」
島振興の象徴のために運ばれた巨大な「パイナップル人形」の張りぼてを道具に、三本のオムニバスで構成されている映画。これも上記の中江監督が一本監督していますが、個人的にはメインで脚本も手ががけていた真喜屋力監督の一本目(島出身のオペラ歌手が、あることのせいで声が出なくなって、島の占い師ユタに見てもらいに来る話)が印象深かったです。結局最後は三本がつながるようにはできているのですが。少し古い作品なので、開発のテーマが奥に入っていますが、離島の特異でのんびりとした雰囲気が味わえる作品です。
「豚の報い」
すごいタイトルですが、たしかに半ばストーリーもその通り(笑)です。内容的にはいまひとつという感じは否めないのですが、沖縄独特のマブイ(魂)の観念や、登場人物たちの「再生」がみてとれる、これも不思議な映画です。
「ウンタマギルー」
これももう古い映画です。小林薫主演ということで、「沖縄」という感覚ではない印象がありますが、中身は強烈なもので、もとは「沖縄芝居」の演目だったという話ですので、非常に「別世界感」があります。当時これを見た私は、映像とともに、かなりいろいろな意味でショックを受けました。サトウキビの作業、豚、精霊、森、音楽、住居、衣服・・・そこには明らかに「日本」とは異なったものがありました。
「うみ・そら・さんごのいいつたえ」
作家・エッセイストとして有名な椎名誠監督作品ですが、はっきりいってストーリーはあってなきようなもの。映画としてはどうかと思いますが、ドキュメント風の離島映像作品として見れば、風景や通りの建物などに癒されます。「都会から田舎、そしてまた都会へ戻る」という典型的な小学生の転校生もののお話ではありますが、それでも最後のバスを追うシーンは、なかなかきれいで印象深いです。
ちょっと前の沖縄ブームから沖縄を舞台にした映画が今も増え続けていますが、最近のはまだ見てないものが多いです。ですからやや古い作品ばかりの紹介となってしまいました。
沖縄モノには、どうしてもわれわれよそ者の目からすると、その日本の内地とは変わった風俗の部分や、のんびりした生き方のほうに目がいって、つい「ああ、いいよなあ、沖縄」という旅行者視線でみてしまいがちですが、それはそれでわれわれとしては仕方ないことなのかもしれません。確かに沖縄には、母系的な何か受容されるようなヒーリング感覚があるのでしょう。森や木々に存在している精霊たちを意識する独特のアニミズムや、ユタやノロに代表されるようなシャーマニズム、祖先信仰・・・失った日本の精神世界の実在が、沖縄の風俗を通して、われわれに蘇ってくるのかもしれません。夏のお盆の時期にこうした沖縄映画をお勧めするのは、そういう意味合いもあります。そして一方では、現地に行けばさらに実感されるのですが、「戦争」「基地問題」「経済」をはじめとする、癒しとは別の沖縄の抱える現実があることも忘れてはならないと思います。ご紹介した映画は、沖縄の「いい雰囲気」を味わえるものが多いのですが、画面には間接的に「現実」もやはり描かれている気がします。しかしながら、映画というものは、制作者や監督の意図はあるとしても、その映画から何をどう感じるのかは、まさに観る側の自由に任されることでもあると思っています。

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