人に話をすること、伝えるということ。

タロットカードには「法皇」(通常では法王、教皇の名)というカードがあり、その次の数を持つカードには「恋人」(恋人たち)というのカードが位置しています。

カモワン版マルセイユタロットではカード人物の視線を重視し、視線が向いている(向けられている)カード同士を関連させてリーディングしていきます。

この「法皇」と「恋人」も、二枚を数の順に並べると、「法皇」から「恋人」に視線が注がれているように見えます。

「法皇」は人に話しをしている様子が描かれ、「恋人」は三人の人物が何かを話し合っているようにも見えます。これらのことから、ともに「話をすること」つまり、コミュニケーションが両方とも関係するということが読み取れます。

この二枚で、言うなれば、「人に話を伝える(法皇)」には、「コミュニケーションの技術(恋人)」が必要だということが示唆されているようにもとれるのです。

実はタロットリーディングは、単にタロットの絵柄や展開から意味がくみ取れる(読める)だけではまだ不十分といえます。

いえ、自分のことをリーディングするということではそれで十分なのです。けれども、リーディングした(感じ取った)内容を他人に伝えるという観点では、そこに言葉やコミュニケーションの技術が必要となってくるのです。

初級の段階では、この部分、「人にいかにしてタロットカードから読み取った内容を伝えるか」ということに苦慮し、結局リーディングが客観的にうまくできないという場合があります。

頭や心ではわかっている(感じている)のに、それをうまく言葉で表現できない、伝えられないのですね。

それは友人同士や家族同志の会話とは別に、プレゼンテーションとはいわないまでも、他人に対して自分の思い(仕事の内容など)を説明する機会が少ない人、口べただと思いこんで話すことをためらっている人、話し好きだけれども要領よく話せない人などには多いケースとなります。

ほかにも何かのことで心にブロックがあって、話しづらいという人もいます。

また話をすることはできても、相手にきちんと言うべき事が言えず、(遠慮してしまう、嫌われたり、いやがられたりするのが怖いという恐れを含んでいます)本質を避けた言い回しになってわかりづらくなってしまうということもあります。

タロットを習ったことで人に説明する機会が生じて、はじめて自分がそういう欠点やブロックがあることに気がつく人もいるのです。

これを克服していくには、やはり意識して訓練するしかありませんが、タロットリーディングを習って人と組(ペア)になってリーディング練習を繰り返すことでも、かなり改善されていきます

また、タロットを使って話しのポイントをあらかじめまとめていくことも可能です。

そもそもカモワン流でリーディングする場合、出たタロット展開にストーリーを作り上げる必要が生じますので、リーディングをこなすに連れ、話を整理していくことは自然と上達していくようにもなります。

わけもわからず、混乱した状態のまま話をしてしまうので、自分でも何を言っているのかわかりませんし、当然相手にも伝わらないことになるのです

話の整理さえつけば、相手に話しをすることも以前よりかは格段にしやすくなり、また相手側にも理解がしやすくなります。

それから普段から言葉・言語に注意を払っていくことです。

自分の言語表現の能力、蓄積を上げていくのです。いわば言葉の貯金です。本を読んだり、文章に多く接することはそのことに高く貢献します。タロットはイメージの力も重要ですが、意外にもこうした「言葉」の能力も要求されるのです。(人にリーディングする場合)

当然のことですが、リーディング内容を伝える以上にタロットを教える講師ともなると、さらに相手に理解してもらえるような言葉、コミュケーションの力がいります。一対一の関係だけではなくなるからです。

自分はタロットがよく読めるようになった、タロットのことはよくわかったと言っても、それを人に伝え教えるともなればまた違った技術の研鑽が求められようになります。これは私自身も昔は錯覚していたことでした。

自分が本当に理解しているかどうかは、まさに他人にそのことを説明してみればわかるのです。

きちんと相手が納得してわかってくれたのならば、あなたの理解度はきちんとしたものですが、そうでなければやはり中途半端なのです。おそらくそのような時は、人に説明をしている最中に、しどろもどろとなるので一目瞭然でしょう。

「法皇」と「恋人」に戻りますが、「法皇」はよく見ると視線は「恋人」の天使に向かっています。つまりは、人間を超えた存在を見ているのです。

それほど人に話をすること、伝えることは言葉を選び、慎重に行い、天使的な目線(上から目線ということではなく、自分の言葉に責任を持つ、人に貢献するというような姿勢)で行うものであることが強調されているのです。

私もまだまだ未熟です。「法皇」目指してがんばりたいものです。

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